定型業務とは?非定形業務との違いや自動化におすすめのツールをご紹介
目次
手順が決まっていて誰でも同じ成果を出せる「定型業務」は、社内に数多く存在します。
この定型業務を自動化できれば、社内全体の業務効率や生産性が向上し、解放されたリソースは重要度の高い非定型業務へ割り当てることが可能です。
定型業務の自動化を行う際は、業務のリストアップや社内周知を丁寧に推し進めていく必要があります。本記事では、定型業務と非定型業務の違いや、定型業務を自動化すべき理由、自動化におすすめのツールなどをご紹介します。
定型業務とは
定型業務とは、手順があらかじめ決まっている業務のことです。手順通りに進めていけば誰でも同じ結果が出るのが特徴であり、場面ごとに人間の柔軟な判断が求められることはありません。
例えば、メールで受信したエクセルデータによる顧客からの発注書を開き、発注内容をコピーして自社の販売管理システムに登録する業務は、マニュアルが用意されていれば誰でも容易にこなすことができます。このような業務を定型業務と呼びます。
人の判断とは・・・過去の経験などをもとに都度判断をすることを指します。
非定型業務とは
非定型業務とは、処理手順が決まっていない業務のことです。マニュアルが用意されていれば誰でも同じ成果を出せる定型業務とは異なり、人間の判断を必要とするため、同じ業務であっても取り組む人によって成果は大きく変化します。
人によって判断のプロセスが異なるため、マニュアル化が難しく、ロボットで代替できないのが非定型業務の特徴です。知識やスキルに成果が左右されやすく、業務品質にばらつきが生じやすい性質を持ちます。
定型業務と非定型業務の判断ポイント
定型業務を判断するポイントは、作業に人間の判断を必要とするか、作業手順が決まっていてフロー・マニュアル化が容易か、発生するタイミングが決まっているかの3点です。常に同じタイミングで発生し、同じ手順でこなすことができ、人間の判断が不要な作業は、定型業務と判断できます。
定型業務 |
非定型業務 |
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例えば、基幹システム上で自動的に作成される売上の週次レポートを、毎週必ず同じ時間に1部だけ印刷する業務は、定型業務に分類されるため、ロボットで代替が可能です。
一方の非定型業務を判断するポイントは、作業のたびに異なる判断を必要とするか、決まった手順がないか、発生するタイミングを予測できないかの3点です。発生するタイミングと処理手順が決まっておらず、毎回人間の判断を求められる業務は非定型業務に分類されます。
定型業務の具体例
定型業務の具体例として、以下のようなものが挙げられます。
- 請求書の作成
- 経費や給与の精算・計算
- 報告書や資料の作成
- 在庫の管理
- 売上の集計
- コンテンツの公開
- システムの状況チェック
- データフォーマットの自動変換
特に請求書の作成や経費・給与計算、在庫管理、売上集計など、所定のシステムからデータを読み込むだけで自動的に処理が可能な業務は定型業務の代表的な例です。
また、特定の期間におけるデータを抽出することで自動作成できる日報や月報、レポートなどの報告書や資料作成も、定型業務に当てはまります。
その他、WebメディアやSNSなどのコンテンツ公開などを決まった時間に行う場合も、定型業務として自動化できるでしょう。システムが正常に稼働しているか、不正アクセスがないかの定期確認や、和暦→西暦などの既存データフォーマットの自動変換も定型業務の一種として処理可能です。
定型業務を自動化すべき理由
定型業務を自動化することで、ヒューマンエラーの削減や工数・人件費の削減を実現できます。ここでは、定型業務を自動化すべき2つの理由について詳しく解説します。
ヒューマンエラーを削減できる
定型業務は決められた手順に沿って処理するだけで誰でも同じ成果を出せるため、一つひとつの手順を丁寧に確認しながら実行することで、ヒューマンエラーの削減につながります。ただし、ただ業務を定型化して人間が処理するだけの形では、完全にヒューマンエラーを失くすことはできません。
ヒューマンエラーを限りなくゼロに近づけるためには、作成したシナリオに沿って自動的に処理を行ってくれるRPAツールの導入が効果的です。
リソースを有効活用できる
定型業務を自動化することで、これまで定型業務に割いていた工数を削減してリソースを解放するとともに、人件費も削減できます。解放されたリソースは、より生産性の高い重要業務に割り当てられるので、社内のリソース最適化にも役立ちます。
定型業務は現場にとって欠かせないものですが、生産性はあまり高くない業務が多い傾向にあります。これらの業務を自動化できれば、社内全体の生産性向上が期待できます。
定型業務を自動化する際の注意点
定型業務を自動化する際は、社員の理解を得ながら進めることが大切です。また、ツールの導入時はコストがかかることを念頭に置いて、予算と機能のバランスを考慮し、自社に最適なツールを選定しましょう。
社員の理解を得ながら進める
定型業務を自動化するにあたって、従来の業務プロセスを見直し、大幅に運用が変更されることが想定されます。これまでの運用が変わることで最も影響を受けるのは現場で働く社員です。自動化のメリットや重要性を十分に得てから社内の変革を進めなければ、現場の反発に遭う可能性があります。
まずは社内で自動化を推進する人を決めるのが良いでしょう。そしてその推進者が中心となって自動化の必要性と、自動化したことによる会社としてや社員にとってのメリットを丁寧に説明することで自動化に対してポジティブな印象を持ってもらいし、現場全体を巻き込みながら施策を進めていくことが大切です。業務プロセスを見直す際は、現場の社員の意見も積極的に取り入れましょう。
推進するにあたって、自動化に関する知識が必要になるケースもあります。社内に自動化に関する知見者がいない場合には、外部委託先に頼ることも手段のひとつです。
ツールを導入する場合はコストがかかる
定型業務の自動化にあたって、よく導入を検討されるツールの一つがRPAです。
RPAツールは、定型業務の自動化に高い効果を発揮しますが、多くのツールではコストがかかるため、費用対効果をよく検証する必要があります。
RPAの導入コストは製品によって大きく異なりますが、初期費用+月額費用で数万円~数十万円などが発生し、ツールによってはライセンス費用として、利用する人数に応じてプラスで発生することもあります。
中には月に数百万円単位で発生するものも存在します。RPAツールの導入によって有効化できるリソースを試算し、自動化できる範囲や機能に見合った価格帯の製品を選ぶことが大切です。
なかには無料のRPAツールもあるため、予算が限られている場合はこのようなツールを上手く活用しましょう。
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定型業務を自動化する方法
定型業務を自動化する方法は、次の通りです。
- マクロを導入する
- botを導入する
- RPAツールを導入する
- AIを導入する
- 外注する
ここでは、上記の5つの方法について詳しく解説します。
マクロを導入する
マクロを導入すると、ExcelをはじめとしたMicrosoft製品の定型業務を自動化できます。Microsoft製品上で自動化したい業務の手順をあらかじめ記録しておき、その記録を呼び出すことで、複数の手順を一括で実行できるのがマクロの仕組みです。
例えばExcel上で作成した100種類のブックの中から特定のデータを抽出して、新しいブックにグラフを作成するなどの使い方が可能です。
マクロを扱うためには、VBAと呼ばれるプログラミング言語の知識を身につける必要があります。
RPAとマクロの違いについて以下で解説しています。併せてご覧ください。
RPAとマクロの違いを徹底比較!どちらを導入すべき?
本記事では、RPAとExcelマクロの違いを徹底比較し、どちらを導入すべきなのかを解説します。RPAとExcelマクロそれぞれの活用例、および両者を組み合わせた活用例もご紹介しますので、これから業務の自動化を検討している方はぜひ参考にしてください。
botを導入する
botとは、事前に設定されたプログラムを自動的に実行するロボットのことです。
botの中でも特に有名なのが、ユーザーからの問い合わせに自動的に回答する「チャットボット」です。事前に想定されるQ&Aをデータベースへ登録しておくと、ユーザーがチャットで投げ掛けた質問に対して、チャットボットが最適な回答をデータベースから検索し、最適な答えを自動的に返す仕組みです。
botを上手く活用することで、問い合わせ業務の効率化が期待できます。
RPAツールを導入する
RPAツールとは、事前に登録したシナリオに沿って、ロボットが自動的に業務を処理するソフトウェアのことです。
RPAは主にPCのアプリケーションやWebサイト上で動作するため、メールで受信した発注書の内容を自社の基幹システムに自動的に登録したり、Web-EDIシステムに定期的にログインして新たな発注データをダウンロードしたり、社員が申請した経費データの内容をチェックしたりと、さまざまな用途に使用できます。
AIを導入する
AIを導入することで、RPAだけでは実現が難しい「簡単な判断が必要な業務」の自動化が可能です。
例えば受信したメールの内容を判断して自動的に優先度を設定したり、OCRにAIを組み込んでAIが手書き文字を判断したり、過去の在庫変動データを参照して最適な発注個数を予測したりする作業などに向いています。
AIは頭脳労働を得意としているため、RPAと掛け合わせることでより自動化可能な作業が増えます。
RPAとAIの違いとは?AIとの組み合わせのメリットや事例を紹介
本記事では、RPAとAIの違いやAIとの組み合わせのメリット、RPA×AIの活用事例をご紹介します。RPAとAIの違いについて知りたい方や、これからRPAの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
外注する
自社で業務を処理するのではなく、外注を活用するのも方法のひとつです。外部の業者の力を借りることによって、実質的な自動化を実現できます。
外注はプロのノウハウを持った専門業者に委託することになるため、自社に該当業務の十分なノウハウがない場合は、業務の効率化につながります。また、人件費を固定費から必要な時のみ外注を利用する変動費に切り替えられるため、コストの最適化も図れます。
定型業務を自動化するなら完全無料のRPAツール「マクロマン」がおすすめ!

前述のように、定型業務を自動化するならRPAの導入を検討するのが効果的です。RPAを導入するなら、完全無料で利用できる「マクロマン」がおすすめです。
例えば、本記事ではロボットが代替できる定型業務のひとつとして「在庫管理」を紹介しました。
以下リンク先の動画では、Excelに入力されている値を在庫管理システムに転記する作業を、マクロマンが行う様子を紹介しています。ぜひ動画もご視聴ください。
マクロマンを導入するにあたって費用がかかるのは、マクロマンの操作方法のレクチャーや不明点への問い合わせをしたい場合に「マクロマン相談チケット」を購入する場合のみです。
どれだけ使ってもライセンス料は無料なので、大幅なコストカットを実現できます。社内の定型業務が多く、自動化したいと思っているもののコストが気になってなかなかRPAを導入できないとお悩みの方も、マクロマンなら無料で導入が可能です。
社内のRPA化に一歩踏み出せずにいた現場も、マクロマンでぜひ自動化を体験してみるとよいでしょう。
まとめ
手順が決まっていてマニュアル化が容易な定型業務は、自動化することで業務効率の向上や生産性の向上につながります。ヒューマンエラーの削減によって業務品質の向上も実現できるため、積極的に自動化に取り組むことをおすすめします。
定型業務を自動化する際は、社内の業務をひと通り洗い出した上で、定型業務と非定型業務を分類し、自動化できる業務を明らかにしましょう。その上で、現場を巻き込んで自動化の方法を検討することが求められます。
この記事の監修者

コクー株式会社
RPA事業部 エヴァンジェリスト
吉田 将太
RPA事業部の立ち上げとして、営業・RPA開発・研修講師を経て、2023年1月にエヴァンジェリスト着任。
RPAやRPA以外の技術を使って業務効率化を目的にした様々な開発に携わる。この経験から300名以上の研修講師を務める。