RPA(ロボットによる業務効率化)の仕組みを学ぼう!基本知識や作成方法の種類を解説
目次
「RPA」と呼ばれるロボットによる業務効率化を進めるには、RPA(この記事ではロボットと呼びます)の仕組みや種類を知ったうえで、作成に入ることが必要不可欠です。
そこでこの記事では、RPA(ロボット)が自動化できること、種類、作成の方法、AIやbot、マクロとの違いなどを解説しています。RPA導入がこれからの方も、すでに導入済でRPA(ロボット)の開発フェーズにいる方も是非参考にしてみてください。
そもそもRPA(ロボット)とは
RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、ロボットによる業務自動化を意味します。ロボットといっても、実際にはパソコンで動くプログラムのことを指し、主に人間が手動で行っている定型業務の自動化を行ってくれる仕組みです。
定型作業の例としてはパソコン上で行うキーボード入力やコピー&ペーストなどで、ExcelやAccessなどのOffice製品、Windowsアプリケーション、WebアプリケーションとPC作業における広い範囲において業務を自動化することが可能です。
RPA(ロボット)で自動化できる業務
RPAツールは、定型化された単純な業務を得意とします。RPA(ロボット)で自動化できる具体的な業務は以下のとおりです。
RPAツールが得意なこと | 具体的な業務の例 |
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データ入力 |
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データ集計 |
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データ検証 |
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レポート作成 |
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情報収集 |
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メール送受信 |
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このように、さまざまな業務をRPAツールで自動化可能です。自社で現状反復して行っている単純な業務があれば、RPAツールを導入できるかもしれません。
RPA(ロボット)の効果
RPAツールの導入によって、以下のような効果が期待できます。
- 人件費の削減
- 人手不足の解消
- 生産性の向上
- 業務品質の向上
- 業務プロセスの可視化
RPAツールは、人が行っていた作業をただ代わりに実行できるだけでなく、プログラムならではの精度の高さに特徴があります。ケアレスミスなどのヒューマンエラーを削減できるため、労働力不足の解消だけでなく、業務品質を向上させることも可能です。
またRPAツールがあれば、長時間にわたる連続作業を好きなタイミングで進めることができます。単純な反復作業であれば、大幅な生産性の向上を望めます。
RPAには様々な業務を自動化できますが、得意なことと不得意なことがあり、すべてが自動化できるものではありません。
詳細は以下の記事で説明しているので併せて参考にしてみてください。
RPAを業務に導入しよう!業種別の活用シーンをまとめて紹介
この記事では、RPAに向いている業務と向いていない業務、そして業種別の活用シーンを詳しく解説します。業務委託で導入するという選択肢もご紹介するので、ぜひRPA導入を検討する際の参考にしてください。
各業務改善ツールやシステムとの違い
ここでは、RPAと混同しやすい業務改善ツールやシステムとの違いを理解しましょう。
RPAとAI
AIとは「Artificial Intelligence」の略で、人工知能を指す言葉です。プログラムである機械に対して、人間のような知能を持たせたソフトウェアを指します。
機械学習によって与えられた情報によってAIは情報を蓄積し、人間のように考える基準が構築されます。機械学習が完了したAIは主体的に判断を行い、システムの司令塔の役割を果たせるようになるのです。
具体例としてOCR(光学的文字認識技術)とAIを組み合わせた事例などがあり、人間が書いた文字を認識して文字起こしをすることができます。
AIは単体で動作するわけではなく、RPAツールなどのほかのシステムに組み込まれて活用されます。データに基づいた判断や作業の振り分けといった高度な機能が、AIによって実現可能です。
RPAとAIについては以下記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
RPAとAIの違いとは?AIとの組み合わせのメリットや事例を紹介
本記事では、RPAとAIの違いやAIとの組み合わせのメリット、RPA×AIの活用事例をご紹介します。RPAとAIの違いについて知りたい方や、これからRPAの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
RPAとBot
Botとはロボット(Robot)が元になっている単語で、決められたことを処理するプログラムを指します。Botはプログラミングに従って動き、特定の処理を人間の代わりに行います。
具体例として、企業サイトなどでみられるチャットボットを考えてみましょう。ユーザーの選択肢や解答に従ってよくある質問などの問い合わせ対応を、自動で行ってくれるサービスです。
RPAとBotは似ていますが、RPAには高度なプログラミングスキルは必要ありません。RPAはノーコードに対応しているサービスもあり、より気軽に導入できるという違いがあります。
RPAとVBA
マクロは、パソコンの操作を自動化するための技術のことを指します。例えば、エクセルなどのソフトで行われた操作を、プログラム言語に変換してプログラムとして記録します。記録された動作は何度も繰り返し再現でき、パソコンの操作を自動化できるのです。
また、Officeソフトにおいてマクロの操作内容を記録するためのプログラミング言語が、VBAです。VBAを習得すると、マクロを駆使してより幅広い業務自動化が可能になります。
具体例として2つのエクセル間での転記などがあります。転記する量が数百箇所あり、それを毎日手作業で行っている場合などはマクロを使って効率化することができます。
RPAとマクロは自動化というポイントで共通点がありますが、使いこなすうえでの難易度に違いがあります。マクロで使用するVBAの習得には時間がかかりますが、RPAには高いプログラミングスキルは求められません。
RPAとVBA(Excelマクロ)の違いや、それらを掛け合わせた自動化の事例は以下でご紹介しています。併せてご覧ください。
RPAとマクロの違いを徹底比較!どちらを導入すべき?
本記事では、RPAとExcelマクロの違いを徹底比較し、どちらを導入すべきなのかを解説します。RPAとExcelマクロそれぞれの活用例、および両者を組み合わせた活用例もご紹介しますので、これから業務の自動化を検討している方はぜひ参考にしてください。
RPAとシステム開発
システム開発とは、企業や自治体などが抱える課題を解決するための仕組みを、コンピューターシステムを使って構築することです。解決したい課題の内容によって、システム開発の規模や難易度は異なります。
大規模なシステム開発となれば、大勢の人員がチームを組んで年単位の時間が必要となるケースも珍しくありません。もちろん、プログラミングといった専門的な知識も求められます。
具体例として銀行ATMや電車の券売機などの中に入っているプログラムのことを指します。
RPAとシステム開発は、課題を解決する手法という点では共通していますが、必要なコストや開発期間、難易度などが大きく異なります。システム開発の規模にもよりますが、RPAの方がよりコストもかからず、手軽に実行できることが多いでしょう。
RPAロボットの代表機能
それでは、RPAツールの代表的な機能についてみていきましょう。
ロボット作成機能
ロボット作成機能では、ロボットの動作を指示するためのシナリオを作れます。
一般的なシステム開発では、プログラミングを用いて、コンピューターに指示を出すための文章を記載します。一方RPAでは、視覚的にわかりやすいように部品といった形で簡略化されていることで、プログラミングの知識が不要になります。それぞれの部品を組み合わせて設定を変更し、自動で作業を行ってくれるロボットを作成します。
ただし、導入するRPAツールによってロボット作成機能の使い勝手は異なるため、選定が必要です。サービスによっては、ロボット作成機能の扱いが難しいケースもあります。RPAツールの導入や運用のノウハウが少ない場合は、ロボット作成を簡単に行えるサービスという条件も、選定する基準の一つとして考えましょう。
ロボット管理機能
ロボット管理機能は、作成したロボットの管理を行えます。RPAツールが企業で浸透すると、さまざまなロボットが作成されるはずです。場合によっては、管理者不明で内容がブラックボックス化しているロボットも増えてしまうかもしれません。
こうした際にロボット管理機能があると、ロボットの役割や管理者を可視化できます。ロボットのアクティブ状態を監視したり、実行ログを蓄積して検索したりもできます。
ただし、RPAツールの種類によっては、ロボット管理機能が搭載されていない場合もあります。RPAツールを大規模に導入するケースなどでは、ロボット管理機能の有無を確認しましょう。
ロボットの作成方法
続いて、RPAロボットの主な作成方法を2つ解説します。レコーディング機能に関してはRPAツールによって搭載されているものと、いないものがあるので、確認をしてみましょう。
ひとつづつ部品を並べて自作
RPAツールの多くには、ロボットを構成する部品がはじめから用意されています。
たとえば、「クリック」「セルに値を入力」「マウス移動」「ファイルのコピー」など、部品の種類は非常に豊富です。RPAツールによっては、数百にもなる部品のなかから、動いてほしいものを選び順番に並べてロボットを作成できます。
部品ごとに指示の設定などのステップは必要ですが、難しいスキルは不要でロボットを作れてしまうのです。
レコーディング機能で簡単作成
RPAツールによっては、レコーディング機能が備わっています。
手順は、録画開始などのボタンをクリックした後に、ロボットに覚えさせたい業務を手作業で行うといったものです。これだけの手順で、自動で必要な部品を選んで、ロボットを動かすためのシナリオを作成してくれます。しかし、ここでレコーディングされたものはマウスなどの一連の動きのみのため、操作内容などによってはその通りに動けないこともあるため、補正をしていく必要がありますが、比較的作業が楽になるものと捉えるのが良いでしょう。
ロボット作成機能のパターン
RPAツールのロボット作成機能は、大きくフローチャート型とスクリプト型に分類できます。それぞれのパターンの特徴について解説します。
フローチャート型
フローチャート型では、RPAツールで作成するロボットの自動化シナリオについて、それぞれの処理を矢印や線でつないで開発を進めます。ロボットに行わせたい処理の全体像を、図形などで視覚的に把握しやすい特徴があります。実行したい処理に分岐が発生しても全体の流れを理解しやすいため、RPAツールが初めての方にも理解しやすい編集画面といえます。
パソコンを動かすためのプログラミングと聞くと、習得に時間がかかるのではと思う方も多いでしょう。この点、フローチャート型でのロボット作成であれば、専門的な要素が図形などで視覚的にわかりやすく補完されるので、幅広い方が開発を進められます。
スクリプト型(リスト型)
スクリプト型(リスト型と呼ばれることもあります)では、ロボットを動かすためのスクリプト(シナリオ)を一覧で表示して開発します。
一覧性が高く一画面で多くの処理内容をチェックできるため、ロボットを動かすシナリオの作り込みに適しているタイプです。
作業内容の大きなロボットになると、シナリオの量も必然的に増えます。効率的に動作をチェックしてエラー対応などを行うには、一覧での情報閲覧が必要になるケースが少なくありません。こうした際にスクリプト型で開発を行えると、スムーズに作業を進められます。
どちらのパターンも使えるRPAを紹介
フローチャート型とスクリプト型、どちらのパターンも使用できるRPAツールを紹介します。
マクロマン
【2022年12月6日よりマクロマンに「フローチャート型(β版)」を搭載しました】
「マクロマン」は完全無料の国産RPAツールで、利用人数や機能の制限は一切なく好きなだけツールを利用できます。完全無料にもかかわらず機能が充実しているため、コストがネックで導入が進まなかった企業や、個人での利用ができなかった方や学生なども利用可能です。
また、スクリプト型とフローチャート型の切り替えを行うことが可能です。
サポート体制も充実しているため、安心して利用を継続できます。必要な時にだけ有料でサポートを受けられ、ツール代を無料にすることで大幅なコストカットを達成できます。
マクロマンの無料ダウンロードはこちら↓
Autojob名人
Autojob名人も、人気の国産RPAツールです。Autojob名人を活用すれば、Webサイトやアプリなどの操作を自動化できます。Autojob名人のスクリプト編集画面は使いやすいフロー型が実装されているので、さまざまな自動化シナリオを思いのままに作成できます。利用頻度の高いスクリプトは「名人マーケット」で提供されており、その利便性の高さもポイントです。
Autojob名人が広く支持される理由として、安定性の追求も挙げられます。Autojob名人は画面操作の安定性が高くタグ指定を得意としており、高い稼働率を実現しているのです。
この記事の監修者

コクー株式会社
RPA事業部 エヴァンジェリスト
吉田 将太
RPA事業部の立ち上げとして、営業・RPA開発・研修講師を経て、2023年1月にエヴァンジェリスト着任。
RPAやRPA以外の技術を使って業務効率化を目的にした様々な開発に携わる。この経験から300名以上の研修講師を務める。